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防災の常識を疑う【第5回】「災害は特別なもの」という考えをやめよう。

フェーズフリーで考える日常と防災
フェーズフリーで考える日常と防災

日常を豊かにする「フェーズフリー」という考え方

「防災」と聞くと、どんなことを思い浮かべるでしょうか。

防災グッズを買う。

非常食を備蓄する。

避難訓練に参加する。

もちろん、どれも大切な備えです。


しかし、それらは「災害のためだけ」の備えになっていないでしょうか。

災害は、いつ起こるか分かりません。

だからこそ、防災を特別なものとして考えていると、「今度やろう」「時間がある時に準備しよう」と後回しになってしまいます。


そこで近年注目されている考え方が、「フェーズフリー」です。

フェーズフリーとは、「日常」と「災害時」を分けて考えるのではなく、普段から使っているものや、普段の暮らしそのものが、災害時にも役立つという考え方です。


日常は楽しむ道具、災害時には防災グッズとして役立てる
日常は楽しむ道具、災害時には防災グッズとして役立てる

例えば、防災用品として専用のライトを購入するだけでなく、毎日の散歩やキャンプで使っているLEDランタンを災害時にも活用する。

防災用の調理器具をしまい込むのではなく、休日のキャンプや庭でのバーベキューで使い慣れておく。


非常食だけを備えるのではなく、普段から食べ慣れているレトルト食品や缶詰を少し多めに買い、使った分だけ補充する「ローリングストック」を取り入れる。

これらは特別なことではありません。

日常を少し工夫するだけで、自然と災害への備えにもなっています。

私たちは、防災グッズを否定しているわけではありません。

むしろ、防災グッズはとても重要です。


しかし、本当に大切なのは「持っていること」ではなく、「普段から使いこなしていること」です。

高価な防災用品を購入しても、一度も使ったことがなければ、災害時に戸惑うかもしれません。


一方で、普段から使い慣れている道具は、いざという時にも落ち着いて活用できます。

また、フェーズフリーは「モノ」だけではありません。

キャンプを楽しむこと。

家族で自然の中へ出かけること。

地域のお祭りやイベントに参加すること。

子どもと一緒に料理をすること。

近所の人と顔見知りになること。

これらもすべて、災害時には大きな力になります。


人とのつながり。

考える力。

工夫する力。

助け合う力。

それらは、特別な訓練ではなく、日常生活の中で育まれていきます。

だから私たちは、防災を「災害のためだけのもの」にしたくありません。

日常を楽しみながら、その結果として災害にも強くなる。

そのような暮らしこそ、本当に豊かな生活ではないでしょうか。


キャンプを楽しむ。

お気に入りの道具を長く使う。

家族で食卓を囲む。

地域の人と笑顔であいさつを交わす。

そんな何気ない日常が、災害時には大切な「備え」になります。

私たちが大切にしているのは、

防災は知識ではなく、日常を豊かにする生きる力である。

という考え方です。


災害への備えは、特別な日に行うものではありません。

毎日の暮らしを少しだけ豊かにすること。

その積み重ねが、自分を守り、家族を守り、地域を守る力になっていきます。

この記事のポイント

  • フェーズフリーとは、日常と災害時を分けずに考える防災の考え方

  • 防災グッズは「持つこと」より「使い慣れること」が大切

  • 普段使いできる道具を選ぶことが、無理なく続けられる備えになる

  • 身近な暮らしや人とのつながりも、災害時には大きな力になる

  • 防災は知識ではなく、日常を豊かにする生きる力である

【次回予告】

災害が発生すると、多くの人が避難所で生活を送ることになります。

しかし、避難生活で本当に困ることは何でしょうか。

食料や水だけでは見えてこない、「生活」の課題があります。


次回は、

「避難所で本当に困ること」

トイレ、衛生、睡眠、プライバシーという視点から、避難生活に必要な備えについて考えます。

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