コラム|防災リテラシーとバイアスの関係性
- akiyuki yamasaki
- 1月17日
- 読了時間: 3分

【防災リテラシーとは?】
防災リテラシーとは、災害に備えるための知識や行動力のことです。災害が起こったときに適切な判断をして行動できるようにする力や、災害が起きる前に必要な準備をする力を指します。これが身についていると、危険な状況でも落ち着いて行動し、自分や家族、友達を守ることができます。
防災リテラシーには以下のような具体的な力が含まれます。
災害の仕組みを知る
地震、津波、大雨など、どんな災害がどのように起こるのかを理解する。
避難の方法を考える
どこに逃げれば安全か、避難所や避難ルートを確認する。
防災グッズ(非常用持ち出し袋)を準備する
必要なもの(食料、水、懐中電灯など)を揃えておく。
情報を正しく判断する
災害時にインターネットやニュースで得られる情報を見極め、行動に役立てる。
【バイアスとは?】
バイアスとは、「思い込み」や「偏った考え方」のことです。災害が起きたとき、人間は自分でも気づかないうちにこのバイアスの影響を受けてしまい、危険な行動をとることがあります。
以下は、災害時に見られる代表的なバイアスの例です。
1. 正常性バイアス
「自分は大丈夫」「こんな大きな地震でも建物は崩れないだろう」と思い込むことです。例えば、強い揺れを感じても「もうすぐ揺れは収まるから逃げなくてもいい」と考えて避難が遅れてしまう場合があります。
2. 楽観性バイアス
「自分だけは危険に遭わない」と楽観的に考えてしまうことです。例えば、大雨が降り続いているのに「この川は氾濫しないから、家にいても大丈夫だろう」と判断して避難をしないケースがこれに当たります。
3. 情報過多バイアス
災害時にはたくさんの情報が入ってきますが、それが多すぎて何を信じればいいのか分からなくなり、行動が遅れることがあります。例えば、SNSやニュースで「避難しろ」という情報と「まだ大丈夫」という情報が混在していると、結局どちらも信じられず動けなくなることがあります。
4. 同調性バイアス(日本人に多く見られる)
「みんながやっているから自分も同じでいいだろう」と周囲に合わせることで、自分の判断をしなくなることです。例えば、地震で揺れが収まった後に避難すべき状況でも、「周りの人が逃げていないから、私もここにいて大丈夫だ」と考えてしまう場合があります。このバイアスは、日本人特有の「和を重んじる文化」から特に起こりやすいと言われています。
【防災リテラシーでバイアスを克服する方法】
防災リテラシーを身につけると、こうしたバイアスに惑わされずに正しい行動ができるようになります。以下の方法が役立ちます。
1. 「自分で考える」習慣をつける
例えば、「周りの人が避難していなくても、自分の命を守るために行動する」ことを意識する。
「もしもの時」を考えて、家族で避難ルートや避難場所を確認しておく。
2. 信頼できる情報を得る
ニュースや自治体の公式発表を確認する。
SNSの情報は鵜呑みにせず、必ず信頼性を確認する。
3. 避難訓練に参加する
実際に体を動かして避難の練習をしておくと、災害時に自分の判断を信じて行動しやすくなる。
4. 最悪の事態を想定する
「このぐらいなら大丈夫」と思わず、「もしかしたら危険かもしれない」と考えて行動する癖をつける。
防災リテラシーは、災害時に「自分の命を守る力」です。一方で、バイアスはその判断を邪魔する「思い込み」のようなものです。特に日本人に多い同調性バイアスでは、周りに合わせてしまうことで、適切な行動を取れなくなる危険があります。
災害時には「周りがどうしているか」ではなく、「自分にとって安全かどうか」を考えることが大切です。普段から正しい知識を身につけておくことで、バイアスに惑わされず、命を守る行動がとれるようになります。
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