日本の地震 – 地理とメカニズム、備え方のガイド
1. 日本の地理的環境と地震が多発する理由
日本は地球上でも特に地震が多発する地域の一つです。その理由は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北アメリカプレート、ユーラシアプレートといった4つの大きなプレートがぶつかり合う場所に位置しているためです。この「プレート境界」によって、日本は世界的にも地震が頻発する地理的な特徴を持っています。また、日本の地表は断層が多く、さらに活火山が存在しており、地震と火山活動が密接に関わっていることが少なくありません。
画像出典「地震調査研究推進本部」
2. 地震のメカニズムと地震の規模・震源深度
地震の発生メカニズムは、プレートの動きにより圧力がかかり、それが限界を超えると地殻が急激に動くことで発生します。この動きによって震源から地震波が放出され、地表に揺れとして伝わります。
地震の強さや影響は、主に以下の2つの要素で表されます。
マグニチュード (M)
マグニチュードは、地震のエネルギー量を数値化したもので、地震の規模を示す指標です。例えば、マグニチュードが1増加するとエネルギー量は約32倍に増加します。そのため、M5とM6の地震では、地震の規模が大きく異なります。一般にM5以下の地震は小規模とされますが、M7を超えると大きな被害をもたらす可能性が高く、M9に近い地震は甚大な被害を引き起こす恐れがあります。
震源深度
地震の震源がどの深さで発生したかを示す震源深度は、地震の揺れの広がり方や影響の度合いを決定する重要な要素です。
浅発地震 (震源が70km未満): 震源が浅いため、地表に強い揺れが直接伝わりやすく、都市部に直下で発生すると被害が甚大になることが多いです。例えば、1995年の阪神・淡路大震災は、震源が浅く都市部直下で発生したため甚大な被害が発生しました。
中発地震 (震源が70km~300km): 広範囲に揺れが伝わりやすく、震源が比較的深いため、揺れの範囲が広がりやすい特徴があります。
深発地震 (震源が300km以上): 地表への影響は少ないことが多いですが、深部からの強い揺れが周辺地域に広がることもあります。
3.マグニチュードと震度の違い
◉マグニチュード
地震そのもののエネルギー量を示す指標です。地震の規模を表す数値で、通常は「M」または「マグニチュード⚪︎⚪︎」と表記されます。この値は震源で放出されたエネルギーの大きさを示し、地震そのものの規模の指標です。
マグニチュードが1増えるごとに、放出エネルギーは約32倍増えます。
例えば、M6の地震とM7の地震ではエネルギー量に大きな差があり、M7はM6の約32倍のエネルギーを持つということです。
マグニチュードが大きいほど、地震の規模も大きくなりますが、実際に感じる揺れの強さ(震度)は、地震の発生場所や震源の深さによって変わることがあります。
◉震度
地震によって地表で感じる「揺れの強さ」を表すもので、日本独自の指標です。気象庁が定める震度階級は0から7まであり、各地の揺れの強さを数値で示します。震度は、地震の揺れを感じた場所ごとに異なるため、同じ地震でも震源に近い場所では震度が大きく、遠い場所では震度が小さくなることがあります。
震度0~1はほとんど揺れを感じない程度
震度3~4は建物が揺れて人が揺れを感じる程度
震度6弱以上になると、家屋の倒壊などの被害が発生する可能性があります
※マグニチュードは「地震のエネルギーの大きさ」を示し、地震そのものの規模を表し、震度は「地表での揺れの強さ」を示し、同じ地震でも観測地点ごとに異なる値になります。
たとえば、マグニチュードが大きな地震でも、震源が深い場合は震度が小さくなることがありますし、逆にマグニチュードが小さくても震源が浅く、観測地点が震源に近い場合は強い震度を感じることがあります。
4. これまでに発生した大地震とその影響
日本では歴史的に大規模な地震が多く発生しており、特に以下の地震は大きな影響を与えました。
関東大震災 (1923年) - M7.9、震源が浅かったため関東地方に甚大な被害をもたらし、約10万人の死者が出ました。
阪神・淡路大震災 (1995年) - M6.9、震源の深さ16kmという浅発地震で、都市部直下で発生したため建物やインフラに壊滅的な被害をもたらしました。
東日本大震災 (2011年) - M9.0、震源の深さ24kmで発生し、巨大津波により東北地方沿岸に甚大な被害をもたらしました。この地震は世界でも稀に見る規模で、津波の影響が広範囲に及びました。
5. 今後予想される地震
今後予想される日本の地震として、特に懸念されているのが「南海トラフ地震」と「首都直下地震」です。これらの地震による被害予測は非常に大規模で、経済的にも社会的にも大きな影響が懸念されています。また、過去の大地震の被害額も甚大で、日本の社会基盤に大きな影響を与えました。
予想される地震の被害予測
◉南海トラフ地震
予測規模: マグニチュード8~9
被害地域: 東海地方、四国、九州を含む広範囲の沿岸部
主な被害予測: 強い揺れに加え、津波による大規模な被害が予想されており、浸水や建物の倒壊が懸念されています。
被害額: 国の推計では、最悪のシナリオで 最大約220兆円 に達するとされています。経済損失やインフラの復旧、家屋の修繕などが含まれ、社会的にも非常に大きな影響が見込まれています。
人的被害: 死者数は最大32万人と予測されており、特に津波の影響で多くの被害が出る可能性があります。
◉首都直下地震
予測規模: マグニチュード7程度
被害地域: 東京を含む首都圏
主な被害予測: 建物の倒壊や火災、交通インフラの麻痺などが懸念されています。
被害額: 約 47兆円 と予測されています。都市機能の麻痺や避難所生活の長期化などが想定され、経済的影響も長期にわたる可能性があります。
人的被害: 約2万人の死者、7万人以上の負傷者が予測されています。また、帰宅困難者や避難生活者の数が膨大になるため、対応の困難さも問題視されています。
地震に備えるために
今後の大地震による被害を軽減するためには、日常的な防災意識の向上やインフラの耐震化、個人の備えが不可欠です。地域ごとの避難計画の確認や、家族やコミュニティでの避難場所の確認、緊急用の備蓄品の用意など、具体的な対策を取ることが重要です。
また、被害が予測される地域では、津波や火災に対する早期の対応システムが充実していくことが期待されています。
今後の地震は過去の災害と同等か、さらに大きな被害をもたらす可能性があるため、私たち一人ひとりができる備えを今からしていきましょう。
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