会社のBCPは、作っただけで役に立つのか?アウトドア体験から学ぶ経営者の判断力

【BCPは、作っただけで役に立つのでしょうか?】
災害に備えて、BCP(事業継続計画)を作成している企業は増えています。
BCPとは、地震や風水害などの緊急事態が発生した際に、従業員の安全を確保しながら、重要な事業を継続し、停止した業務を早期に復旧するための計画です。
しかし、計画を作成していても、実際に災害が発生したときに、その通りに行動できるとは限りません。
例えば、こんな状況を想像してみてください。
突然、会社の電気が止まった。
インターネットも使えない。
社員の一部と連絡が取れない。
取引先からは納品について問い合わせが入っている。
そのとき、経営者は何から判断するでしょうか。
「BCPで大切なのは、計画よりも行動できること」
BCPは、書類を完成させることが目的ではありません。
災害時に何を優先し、誰が判断し、どのように事業を継続するかを明確にするためのものです。
まず従業員や関係者の安全を確認する。
重要な業務を特定する。
限られた人員や設備で、何ができるかを考える。
必要に応じて、事業の一部を停止する判断も行う。
こうした意思決定を、災害発生後の混乱した状況で行うことになります。
なぜ、企業のBCPにアウトドア体験が役立つのか
キャンプやアウトドアでは、普段の会社とは異なる環境で活動します。
使える道具が限られている。
天候によって予定を変更しなければならない。
仲間と役割を分担する必要がある。
情報が十分にない中で、判断を求められることもあります。
こうした状況は、災害時の企業経営と共通する部分があります。
例えば、屋外で電源や通信手段を限定した模擬訓練を行うと、普段は当たり前に使っている設備や情報に、どれだけ依存しているかが分かります。
そこで必要になるのは、キャンプの技術だけではありません。
状況を把握し、優先順位を決め、仲間と協力して行動する力です。
経営者に求められる三つの判断
災害時には、まず人の命と安全を守ることが重要です。
そのうえで、事業を継続するために必要な資源を把握します。
そして、通常通りの業務ができない場合に、何を優先し、何を一時的に止めるのかを決めます。
経営者がすべてを一人で解決する必要はありません。
むしろ、誰がどのような情報を集め、誰が判断し、どのように社員へ伝えるのかを平時から決めておくことが重要です。
自助が会社を守る力につながる
企業のBCPを考えるうえで、従業員自身の備えも欠かせません。
社員が自分や家族の安全を確保できなければ、安心して会社の復旧業務に参加することは難しくなります。
家庭の防災と企業のBCPは、別々のものではありません。
自分の命を守る力が、家族を守る力につながる。
家族の安全が確保されることで、仕事や地域を支える行動につながる。
そのため、企業防災では職場の備えとともに、従業員一人ひとりの防災意識を高めることも大切です。
AIと体験を組み合わせた新しいBCP研修
2026年11月5日には、生成AIを活用して災害状況を時系列で提示する企業向けBCP訓練システムの共同開発が発表されました。
AIによって複数の状況を想定し、判断の訓練を行う取組が広がりつつあります。
一方で、実際に限られた設備を使い、仲間と協力して行動する経験には、現場ならではの学びがあります。
AIで状況を考える。
屋外で実際に行動する。
その結果を振り返る。
このような組み合わせによって、BCPをより実践的なものにしていくことが期待できます。
防災キャンプは目的ではなく、防災意識を高める入口
日本防災キャンプアウトドア協会では、キャンプやアウトドアの体験そのものを目的とは考えていません。
普段とは異なる環境を通して、自分自身の備えや判断力を見直す。
仲間と協力し、限られた条件の中で課題を解決する。
その経験を、家庭、職場、地域の防災へとつなげる。
防災意識の向上が自助・共助につながり、その積み重ねが地域を支える人材育成につながる。私たちは、この考え方を大切にしています。
「楽しみながら備える。その先の生きる力へ。」
日本防災キャンプアウトドア協会では、企業、商工団体、自治体、学校、地域団体を対象に、体験型防災教育や企業BCP研修をご提案しています。
企業の規模や業種、参加者の役割に合わせた研修内容について、お気軽にご相談ください。

コメント