小学校で実施した防災キャンプ出前講座
- akiyuki yamasaki
- 2 日前
- 読了時間: 4分
〜子どもたちが「楽しく学ぶ」から「備えを実践する」へ〜
先日、長野県内のある小学校から依頼を受け、5年生26名を対象に防災キャンプの出前講座を実施しました。今回の講座は、キャンプやアウトドアのスキルを単なるレジャー体験にとどめず、「もしもの災害時にどう活かすか」という視点で構成し、子どもたちの「自助力」を育むことを大きな目的としました。

◉日本は「災害大国」であることを知る
最初に行ったのは座学の時間です。地政学的に見て、日本は地震、台風、大雨、火山噴火といった自然災害が頻発する地域に位置しています。子どもたちに「なぜ日本は災害が起きやすいのか?」を問いかけながら、プレートの重なりや気候の特徴を簡単に説明しました。
さらに「自然現象」と「自然災害」の違いについて学びました。例えば、大雨そのものは自然現象ですが、それが土砂崩れや洪水を引き起こすと「自然災害」になります。子どもたちは「同じ出来事でも、人の暮らしや命に影響するかどうかで意味が変わる」ということに気づき、真剣に耳を傾けてくれていました。
◉命を守る「五要素」を体験的に学ぶ
座学の後は、災害直後から命を守るための「五要素」をテーマに実技を行いました。この五要素とは、体温保持・水・火・食・安全な居場所です。講座では特に「体温保持」「水」「ロープワーク」に重点を置き、子どもたちが楽しみながら学べるよう工夫しました。
体温保持:寒さから命を守る
まずは体温保持の大切さについて。災害時には衣服や毛布が不足する場合もあります。そこで、簡易的な防寒対策としてレインウェアやごみ袋を活用する方法を紹介しました。子どもたちは実際にビニール袋を使い、体を覆ってみると「意外と温かい!」と驚いていました。こうした小さな体験が、「知っている」と「できる」の違いを実感させてくれます。


水の浄化:飲み水を確保する
次に「水の浄化」。災害時に安全な飲料水を得ることは非常に重要です。実際に簡易ろ過の仕組みを見せ、ペットボトルや布を使った方法を紹介しました。普段は当たり前に飲んでいる水が、状況次第でとても貴重になることを、子どもたちは強く感じていたようです。


ロープワーク:知恵と工夫で生き延びる
最後に挑戦したのはロープワーク。テント設営や荷物の固定など、アウトドアの現場で欠かせないスキルは、災害時にも大いに役立ちます。子どもたちは最初こそ苦戦していましたが、結び方を覚えると「できた!」と笑顔がはじけました。仲間と協力しながら学ぶ姿は、まさに「共助」の力を育んでいる瞬間でした。

子どもたちの姿勢と先生方の思い
この小学校では、日頃から防災に関する活動や勉強を行っているそうです。そのため、子どもたちは高い意識をもって講座に臨んでくれました。質問も活発で、実技では「もっとやりたい!」という声があがるほど。
先生方からも「子どもたちが積極的に活動できる授業にしたい」という思いを伺いました。災害教育はどうしても「怖い話」になりがちですが、実際の体験を通じて「楽しい」「役立つ」と感じることができれば、子どもたちは自然と前向きに防災を学んでいきます。
◉出前講座で地域全体の防災力を育む
今回の出前講座を通じて改めて感じたのは、防災教育は学校現場でこそ大きな効果を発揮するということです。子どもたちが学んだことを家庭に持ち帰れば、家族全体の防災意識が高まります。そして、その広がりが地域の防災力へとつながっていきます。
私たち 日本防災キャンプアウトドア協会 では、小学校や中学校を対象に出張型の防災キャンプ講座を実施しています。災害時に役立つ知識やスキルを、キャンプやアウトドアの楽しさと結びつけながら学ぶことで、子どもたちが主体的に「自分の命を守る力」を身につけられるようサポートしています。
◉出張講座の内容例
日本における自然災害のリスクについて学ぶ座学
災害直後に役立つ「五要素」の体験型ワーク(体温保持・水・火・ロープワークなど)
グループワークやディスカッションを通じた「共助」の実践
防災を「楽しみながら学ぶ」工夫を凝らしたプログラム
学校ごとの状況や子どもたちの発達段階に合わせてカスタマイズ可能です。
◉最後に
災害はいつ、どこで起こるかわかりません。しかし「知っていること」と「できること」の差が命を分けることもあります。今回の講座での子どもたちの真剣な眼差しや笑顔は、防災教育の可能性を強く感じさせてくれるものでした。
今後も私たちは、地域と子どもたちの未来を守るため、出前講座を積極的に展開していきたいと考えています。もし学校や地域での防災教育に関心がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。一緒に「楽しく学び、実践できる防災」を広げていきましょう。
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