冬の連載テーマ「命を守る“冬の防災力”」第2回:体温を守る。それが冬の防災の第一歩
- akiyuki yamasaki

- 1月8日
- 読了時間: 4分
― 暖房が止まった家で、あなたは何時間耐えられる? ―
▪️人は「寒さ」で簡単に弱る
災害というと、建物の倒壊や火災、大きなケガを思い浮かべがちですが、実は冬の災害で最も命を奪いやすいのは「寒さ」です。寒さは静かで、目に見えず、音もなく、しかし確実に人の体を弱らせていきます。
体温が下がると、私たちは正しい判断ができなくなります。手がかじかみ、言葉がうまく出ず、眠くなり、やがて意識を失います。「ちょっと寒い」から「危険な状態」までは、驚くほど短いのです。
だからこそ、冬の防災において最優先すべきことは――食料でも水でもなく、まず「体温を守ること」 なのです。
▪️低体温症とは何か
人の平熱はおよそ36〜37℃。これが35℃を下回ると「低体温症」が始まるとされています。
35℃前後:震え、手足の感覚が鈍る、判断力が低下
33℃以下:ろれつが回らない、動作が遅くなる
30℃以下:意識障害、命の危険
しかも怖いのは、本人が危険を自覚しにくいことです。低体温になると「眠い」「ぼーっとする」感覚が強くなり、「少し休もう」と横になったまま戻ってこないケースもあります。
つまり、寒さは「痛い」「苦しい」ではなく、「気持ちいい」「眠い」という顔をして命を奪う存在なのです。
▪️体温はどうやって失われるのか
体温は、主に次の4つの要因で奪われます。
伝導:冷たい床や地面に直接触れる
対流:風や空気の流れで熱が奪われる
放射:何もしなくても周囲に熱が逃げる
蒸発:汗や湿気が蒸発して体を冷やす
・冷たい床に座る・風にさらされる・薄着のままじっとしている・汗をかいたまま放置するこれらはすべて、体温を奪う行為なのです。
▪️体温を守る5つの基本原則
① 地面から離れる
冷たい床は最大の敵です。銀マット、段ボール、毛布、座布団、何でもいいので「体と床の間に空気の層」をつくることが大切です。
※避難所となる体育館は非常に冷たい床である…ただ避難するだけでなく少しでも体温を奪われない工夫が重要です。
② 風を遮る
窓際・玄関・廊下は特に冷えます。カーテンを閉め、ドアをふさぎ、人が集まる部屋を一つにまとめましょう。
③ 重ね着をする
1枚厚着より、薄手を重ねる方が保温効果は高くなります。首・手首・足首を温めるだけで体感温度は大きく変わります。
④ 湿気を避ける
汗をかいたら着替える。濡れた服はすぐ乾かす。濡れ=冷え、です。
⑤ 熱源を正しく使う
カイロ、湯たんぽ、温かい飲み物、カセットコンロ。ただし室内火気使用には必ず換気と一酸化炭素対策を。
▪️キャンプの防寒は、そのまま防災になる
冬キャンプでは、誰もが自然と次のことをします。
地面にマットを敷く
風を避ける場所にテントを張る
シュラフに入り、首元を閉める
火や温かい飲み物で体を温める
これらはすべて、完璧な防災行動です。
つまり、防災とは新しい知識ではなく、自然の中で生きるための知恵を、もう一度思い出すことなのです。
▪️フェーズフリーな体温管理「キャンプ道具はフェーズフリーな道具」
シュラフ → 非常時の寝具
ヘッドライト → 停電時の照明
ガスバーナー/カセットコンロ → 暖房+調理
ダウンジャケット → 避難時の防寒具
日常と非常時を分けない「フェーズフリー」な備えは、心にも余裕を生みます。「特別な準備」ではなく、「いつもの延長」でいいのです。
特にキャンプ道具は最強のフェーズフリーな道具であり、平時は楽しむ道具、非常時には最強の防災グッズとなる。
普段から使い慣れておくことが重要で、使い終わったらメンテナンスをし「いざ」という時にいつでも使える状態にしておくこと!

▪️子どもと一緒に体験してほしい
子どもは、頭で理解するより体で覚えます。
毛布にくるまると温かい
床に座ると冷たい
火のそばは暖かい
風が吹くと寒い
こうした体感は、災害時に必ず役立ちます。遊びながら、体験しながら、「生きる感覚」を育てることこそ最高の防災教育です。
▪️おわりに|体温は「命のスイッチ」
体温は、私たちの命のスイッチです。それが入っている限り、人は考え、動き、助け合えます。それが切れると、すべてが止まります。
冬の防災の第一歩は、水でもなく、食料でもなく、まず「温かくいること」。
それだけで、生き延びられる確率は大きく上がります。
次回予告(第3回)
次回は「停電した夜をどう過ごすか」をテーマに、家庭でできる「冬の停電キャンプ」の方法をご紹介します。



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