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冬の連載テーマ「命を守る“冬の防災力”」第3回電気が止まった夜をどう過ごす?

― 冬の停電を“室内キャンプ”に変える ―

▪️防災は“耐えること”ではなく“暮らすこと”

災害時の停電は、私たちの日常を一瞬で変えてしまいます。暖房が止まり、照明が消え、情報が途絶える――その瞬間、私たちは「守られた生活」から「自然と向き合う生活」へ引き戻されます。

しかし、私たち日本防災キャンプアウトドア協会は、停電の夜をただ“我慢する時間”だとは考えていません。キャンプやアウトドアで培われた知恵があれば、停電は「不安な夜」ではなく、「静かに家族が寄り添う室内キャンプ」に変えることができます。

本記事では、冬の停電をどう生き抜くかではなく、どう“暮らすか”という視点で、防災×キャンプの実践をお伝えします。

▪️なぜ冬の停電は命に関わるのか

冬の停電が危険なのは、単に「不便」だからではありません。命に直結する3つのリスクがあります。

1つ目は寒さによる低体温症。暖房が止まると、家の中でも急速に体温が奪われます。寒さは痛みを伴わず、静かに判断力を奪うため、気づいたときには危険な状態になりがちです。

2つ目は暗さによる事故リスク。足元が見えず、転倒やケガが増えます。特に高齢者や子どもにとっては命に関わります。

3つ目は情報遮断。スマートフォンの充電が切れると、正しい判断ができなくなります。

だからこそ私たちが最優先で守るべきは、

  • 体温

  • 安全な熱源

この3つです。この3つが確保できれば、停電の夜は「耐える夜」から「落ち着いて過ごせる夜」へ変わります。

▪️家の中に“小さな安全基地”をつくる

家の中に小さな“暖かい島”をつくることです。

家全体を暖める必要はありません。むしろ一部屋に集まり、そこを“室内キャンプサイト”にします。

STEP1:部屋を一つに絞る
  • リビングなど断熱しやすい部屋を選ぶ

  • カーテンを閉め、ドアの隙間をタオルで塞ぐ

STEP2:床を断熱する

冷たい床は最大の敵です。

  • 銀マット

  • 段ボール

  • 毛布

を重ね、直接床に座らないようにします。

STEP3:家族が集まる

体温は“共有できる資源”です。家族が集まるだけで暖かくなり、不安も軽減されます。

これはまさにキャンプの基本動作。アウトドアの知恵を、そのまま家庭に持ち込むことが防災になります。

▪️光は「明るさ」ではなく「安心感」

停電時に必要なのは、部屋を昼間のように明るくすることではありません。必要なのは、足元が見える安心感です。

おすすめは:

  • ヘッドライト(両手が使える)

  • LEDランタン(やわらかい暖色系)

キャンドル(ろうそく)は火災リスクが高いため、LEDを基本にすることを推奨します。

▪️熱源は“命の道具”として使う

冬の停電で最も頼れるのがカセットコンロです。

できること:

  • お湯を沸かす

  • 温かい飲み物を作る

  • 非常食を温める

  • 湯たんぽを作る

ただし、室内使用時は必ず換気。可能であれば一酸化炭素警報機を備えましょう。

▪️家族でできる「停電キャンプ」

防災は座学では身につきません。体験がすべてです。

月に一度だけでいいので

  • 夜にブレーカーを落とす

  • ランタンだけで過ごす

  • カセットコンロでお湯を沸かす

これを「停電ごっこ」ではなく、室内キャンプとして楽しんでみてください。

子どもは怖がるどころかワクワクします。そしてその経験が、実災害時の冷静さにつながります。

▪️フェーズフリーという核心思想

ここに、私たち協会が大切にするフェーズフリーの考え方があります。

  • キャンプのランタン → 停電の照明

  • シュラフ → 非常時の寝具

  • カセットコンロ → 暖房兼調理器具

特別な防災グッズは必ずしも必要ありません。日常で使うアウトドア道具が、そのまま命を守る道具になる。

これこそが、防災キャンプアウトドア協会のメッセージです。


停電の夜は恐怖ではなく、家族が寄り添う静かな時間に変えられます。備えは「不安を消す」のではなく、「心に余白をつくる」ものです。


次回は第4回「雪と孤立と、どう向き合うか」 をお届けします。豪雪時代における共助と地域のつながりについて考えていきます。


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