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「その時、どうする?」自分で考え、仲間と協力し、命を守る力を育む2日間

1 日前
読了時間: 10分

〜桑名市立伊曽島小学校5年生 防災キャンプを実施しました〜


三重県桑名市立伊曽島小学校の5年生を対象に、学校の体育館を避難所に見立てた、1泊2日の「防災キャンプ」を実施しました。

三重県桑名市伊曽島小学校
三重県桑名市伊曽島小学校

今年で2回目となる伊曽島小学校での防災キャンプ。


今回の活動を通じて改めて感じたのは、子どもたちには、自分で考える力、行動する力、そ

して誰かの役に立とうとする力が備わっているということです。

防災教育というと、災害の恐ろしさを伝えたり、正しい避難方法を教えたりすることが中心になりがちです。


もちろん、それらも大切なことです。

しかし、私たちが大切にしているのは、知識を覚えるだけではなく、「その時、自分ならどうするのか?」を考え、自ら判断し、行動できる力を育むこと。


今回の2日間も、子どもたちの好奇心と主体性に、何度も驚かされる時間となりました。

「その時、どうする?」正解を教えるのではなく、自分たちで考える

初日の前半は、「その時どうする? 自分の命を守る判断」をテーマにした講義からスタートしました。


「みんなが1日の中で一番長い時間を過ごす場所はどこだろう?」

「じゃあ、2番目は?」

そんな問いかけから、普段の生活と災害の関係について考えてもらいました。

多くの子どもたちにとって、自宅に次いで長い時間を過ごす場所は学校です。

しかし、地震が発生する時、必ずしも教室にいるとは限りません。

体育館かもしれない。校庭で遊んでいるかもしれない。廊下を歩いている時かもしれない。

そこで、活動班ごとに「その場所で地震が起きたらどうする?」というグループワークを行いました。


体育館で講義の様子
体育館で講義の様子

話し合いの時間は、わずか3分間。

短い時間の中で、どこに危険があるのか、何を優先するべきなのか、どう行動するのかを話し合い、班ごとに発表してもらいました。


印象的だったのは、子どもたちが自分の考えをしっかり持っていたことです。

当然、意見が違うこともあります。

しかし、違う意見があるからこそ話し合いが生まれます。

自分の意見を伝えること。仲間の意見を聞くこと。そして、班として一つの考えにまとめること。


この過程そのものが、災害時に必要となる判断力や協働する力につながっていきます。

さらに、同じ地震や大雨であっても、地域や場所、周囲の環境によって危険は異なること、そして、必ずしも近くに大人がいるとは限らないことも一緒に考えました。

「もし、一人でいる時に災害が起きたら?」

災害は、誰かが正解を教えてくれるまで待ってはくれません。

だからこそ、自分の頭で考え、状況に応じて判断する経験が大切なのです。


命を守るために必要なものは何だろう?

続いて考えたのは、「命を守るために必要な要素」です。

子どもたちからは、さまざまな意見が次々と出されました。

私たち大人は、つい知識や経験から答えを導こうとします。

しかし、子どもたちはもっと自由です。

一つの問いからさまざまな考えが広がり、ほかの子の意見を聞くことで、さらに新しい発想が生まれていきます。


ここで大切なのは、最初から正解を求めすぎないこと。

「なぜ、それが必要だと思う?」

「ほかには、どんな方法があるだろう?」

問いかけによって、子どもたち自身が考えを深めていきます。

防災に必要なのは、単に知識を持っていることだけではありません。

知っていることを、その場の状況に合わせて活用できること。

その力を育むことこそ、防災教育の大切な役割だと考えています。


自分の頭で考え、状況に応じて判断する経験が大切
自分の頭で考え、状況に応じて判断する経験が大切

「命を守るために必要な要素」
「命を守るために必要な要素」

体育館が避難所に!仲間と協力してテントを設営

講義の後は、いよいよ体育館での避難生活体験です。

活動班ごとに協力しながら、テントの設営に挑戦しました。

テントは、一人ではなかなか設営できません。

誰かが支え、誰かが組み立て、声を掛け合いながら作業を進めていきます。

子どもたちは積極的に動き、自分たちで役割を見つけながら設営を進めていました。


班毎にテント設営
班毎にテント設営

そして、今回特に印象的だったのは、自分たちの班のテント設営が終わると、まだ終わっていない班を手伝いに行く子どもたちがいたこと。

誰かに指示されたからではありません。

自分たちにできることを見つけ、自然と行動していたのです。

普段、学校では先生や大人から何かを教えてもらう機会が多い子どもたち。

しかし、自分ができることを誰かに教えたり、誰かの役に立てたりする場面では、驚くほど積極的になります。


子どもたちは、私たち大人が思っている以上に「誰かの役に立ちたい」「手伝いたい」という気持ちを持っているのではないでしょうか。

今回の活動でも、そのことを強く感じました。


災害時に大切なのは、特別なリーダーだけが動くことではありません。

一人ひとりが、自分にできることを見つけ、周囲と支え合うことです。

その姿が、すでに子どもたちの行動の中に表れていました。


身近なものを工夫して、体育館で一夜を過ごす

今回の防災キャンプでは、体育館に設営したテントの中で一夜を過ごしました。

子どもたちは、事前に学んでいた知識を活かし、身近なものを使いながら寝床を整えていました。

普段の自宅とは違う環境で眠ること。

床の硬さや寝心地、限られた空間での過ごし方など、実際に体験してみなければ気づかないこともあります。


そして、寝袋が配布されると、早速その中にくるまって楽しそうに過ごす子どもたち。

初めて寝袋で眠る子も多かったようで、その姿がとても印象的でした。

もちろん、実際の避難生活は楽しいことばかりではありません。

しかし、普段からキャンプやアウトドアを通じて、いつもと違う環境で過ごす経験をしておくことは、災害時の生活を考える大切なきっかけになります。


不便な環境を、ただ我慢するのではなく、どうすれば少しでも快適に過ごせるかを考える。

そこにも、防災とキャンプ・アウトドアがつながる大きな価値があります。

覚えたら、今度は誰かに教えてあげよう!ロープワーク体験


2日目は、ロープワークと火起こし体験を行いました。

ロープワークでは、結び方を覚えるだけでなく、覚えた技術をほかの人に伝えることにも挑戦してもらいました。

「できるようになった人は、まだできていない人に教えてあげて!」

そう声をかけると、子どもたちの動きが変わります。

少しでも早く覚えようと真剣に取り組み、できるようになると、今度は友達に教え始めます。

中には、先生に結び方を教えている子もいました。

この光景を見ながら、改めて感じたことがあります。

それは、子どもたちは「教わること」だけでなく、「誰かに教えること」に大きな喜びを感じるということです。


自分ができるようになった。

そして、その技術が誰かの役に立った。

その小さな成功体験が、自信につながり、次の挑戦への意欲を生み出していきます。

防災教育においても、教える側と教わる側を固定する必要はありません。

子どもが大人に教えることがあってもいい。

むしろ、そんな機会をもっと増やしていくことが大切なのではないでしょうか。


ロープワーク事前講習
ロープワーク事前講習

やっぱり火起こしは楽しい!火の持つ多段階的な効果を考える

そして、子どもたちが夢中になったのが、メタルマッチを使った火起こし体験です。

やっぱり、火起こしは楽しい!

これは子どもだけでなく、大人にも共通することかもしれません。

普段の生活では、子どもたちが自由に火を扱う機会は限られています。

だからこそ、適切な安全管理のもとで火起こしに挑戦できることは、貴重な体験になります。


初めてメタルマッチを使う子どもたちは、火花が飛ぶたびに興味津々。

最初はなかなかうまくいかなくても、一度コツをつかむと、どんどん上達していきます。

そして面白いのは、子どもたちの挑戦の仕方です。

大人は一度うまくいく方法を見つけると、その方法を繰り返しがちです。

しかし、子どもたちは違います。

「こうしたらどうなる?」

「こっちの方がうまくいくかな?」

次々と違う方法を試し、自分なりの工夫を重ねていきます。

そんな姿を見ていると、子どもたちの好奇心や探究心の豊かさを改めて感じます。


みんな真剣です!
みんな真剣です!

そして今回の火起こし体験では、ただ火を起こすだけでは終わりません。

「火を起こすことができたら、どんなことができるだろう?」

そんな問いかけから、**「火の多段階的効果」**について一緒に考えました。


火は、暖を取ることができる。明かりになる。食べ物を調理することができる。水を沸かすこともできる。

さらに、火を囲むことで人が集まり、会話や安心感が生まれることもあります。

一つの技術が、さまざまな場面で役立つ。

これも、キャンプやアウトドアの知識と技術が防災につながる理由の一つです。

子どもたちからは、大人ではなかなか思いつかないような自由な発想も生まれ、私たちにとっても楽しい学びの時間となりました。



子どもたちに必要なのは、もっと「自分で考え、行動できる機会」


今回の2日間を通じて、特に強く感じたことがあります。

それは、子どもたちは決して「何もできない存在」ではないということです。


大人が先回りして教えたり、手伝ったり、正解を与えたりすることで、子どもたちが本来持っている力を発揮する機会を少なくしているのかもしれません。

もちろん、安全を守るために大人が教え、支えるべきことはあります。

しかし、それと同じくらい大切なのが、子どもたち自身に考えさせ、挑戦させ、任せてみることです。


今回の防災キャンプでは、子どもたちが自分たちで考え、仲間と協力し、困っている人を手伝い、覚えたことを誰かに教える姿が何度も見られました。

それは、特別な防災知識を身につけること以上に、大切な学びだったのではないかと感じています。


私たちがキャンプやアウトドアを通じて伝えている、大切な3つの心構えがあります。

  1. 自分のことは自分でする

  2. 困っている人がいたら助ける

  3. 新しいことにチャレンジしてみる


今回の子どもたちの姿は、まさにこの3つを体現していました。

防災は、災害が起きた時だけに必要なものではありません。

日常生活の中で、自分で考え、判断し、行動すること。

仲間と協力し、誰かの役に立つこと。

失敗を恐れず、新しいことに挑戦すること。

そうした日々の経験の積み重ねが、いざという時に自分や大切な人の命を守る力につながっていくのだと思います。


「楽しく備える」から「生きる力」を育む防災教育へ

私たち日本防災キャンプアウトドア協会が大切にしているのは、防災を特別なものにせず、楽しみながら日常の中に取り入れていくことです。

キャンプやアウトドアには、自然の中で考え、工夫し、仲間と協力しながら困難を乗り越える経験が数多くあります。


そして、その経験は災害時にも役立ちます。

「知っている」から「できる」へ。

「できる」から「誰かの役に立てる」へ。

その積み重ねが、子どもたちの自信となり、地域の防災力を高めていくことにつながると考えています。


今回の伊曽島小学校の防災キャンプでは、子どもたちの行動から、私たち大人も多くのことを学ばせてもらいました。

子どもたちの好奇心を大切にし、可能性を信じ、挑戦できる機会をつくること。

それこそが、これからの防災教育に求められる大切な視点ではないでしょうか。

今年も伊曽島小学校の防災キャンプにお招きいただき、ありがとうございました。

学校の先生方、関係者の皆さま、そして何より、2日間積極的に活動してくれた5年生の皆さんに、心より感謝申し上げます。


今回の体験が、子どもたちにとって「楽しかった思い出」だけでなく、これからの生活の中で自分で考え、行動するきっかけになれば嬉しく思います。

防災は、未来を怖がるためのものではなく、未来を生き抜く力を育むもの。

これからも私たちは、防災とキャンプ・アウトドアを通じて、子どもたちの可能性を広げる活動を続けていきます。


日本防災キャンプアウトドア協会

防災 × キャンプ × アウトドア

楽しみながら備え、生きる力を育む。

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