冬の連載テーマ「命を守る“冬の防災力”」第5回:子どもに伝えたい「冬を生きる力」
- akiyuki yamasaki

- 14 時間前
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― 雪遊びは、最高の防災教育 ―
はじめに|防災は「教える」ものではない
防災という言葉を聞くと、多くの大人はこう考えます。
「ちゃんと教えなければ」「正しい知識を覚えさせなければ」「危険を理解させなければ」
もちろん知識は大切です。しかし私たち日本防災キャンプアウトドア協会は、少し違う視点を持っています。
防災は、教え込むものではなく、体で感じ、体で覚えるものだと考えています。
そして冬は、その最高の教材を私たちに与えてくれます。
それが——雪遊びです。

▪️遊びは「生きる力」を育てる
子どもたちは、遊びの中で本能的に学びます。
雪を触れば、冷たさを知る。雪玉を握れば、指先がかじかむ。走れば汗をかき、止まれば急に寒くなる。
これは、教科書では学べない「生きる感覚」です。
防災の本質は、自然とどう向き合うかということ。
雪遊びは、その最前線です。
どこが滑りやすいか
どこが安全か
どれくらいで寒くなるか
体がどう変化するか
子どもは、遊びながら自然のリスクと距離感を学びます。
私たちは、危険を遠ざけることだけが安全だとは考えていません。小さなリスクを経験することが、大きな災害への備えになる。
それが、防災キャンプの根底にある思想です。
▪️火・雪・寒さ・暗さと向き合う経験
冬には、自然のエッセンスが凝縮されています。
● 火との付き合い方
焚き火は暖かく、安心感を与えます。しかし扱いを誤れば危険です。
子どもが火のそばに立ち、大人が見守りながら「どう扱うか」を学ぶ。
これは、防災そのものです。
● 寒さとの付き合い方
「寒い」と感じたらどうするか。
重ね着をする
動く
風を避ける
温かいものを飲む
こうした行動を体で覚えることが、低体温を防ぐ力になります。
● 暗さとの付き合い方
冬は日が短く、暗くなるのが早い。ヘッドライトやランタンの光に安心する経験は、停電時の不安を軽減します。
防災キャンプでは、あえて暗さを体験する時間をつくることもあります。
暗闇は怖いものではなく、扱い方を知れば怖くないものだと体で理解することが大切です。

▪️親ができることは「教える」より「一緒に感じる」こと
では、親にできることは何でしょうか。
それは、知識を詰め込むことではありません。
「寒いね、どうする?」と問いかける
「火はどうしたら安全かな?」と考えさせる
「暗くなると何が困る?」と一緒に想像する
答えを先に言うのではなく、一緒に考える姿勢が、子どもの防災力を育てます。
そして何より大切なのは、親自身が楽しんでいる姿を見せることです。
防災が「怖いもの」になるか、「生きる力」になるかは、大人の関わり方で大きく変わります。
▪️協会の活動と、次世代への想い
日本防災キャンプアウトドア協会が目指しているのは、「防災を教える人」を増やすことではありません。
私たちが育てたいのは、人が考え、動き、生き抜く力を引き出せる指導者です。
子どもが雪の中で転び、立ち上がり、笑い、また挑戦する。その姿を見守りながら、必要なときだけ手を差し伸べる。
それが、私たちの考える防災教育です。
冬を楽しめる子どもは、冬の災害にも強い。
自然を怖がらず、自然を侮らず、自然と共に生きる感覚を持つ子どもたち。
その感覚こそが、未来の日本の防災力を底上げしていくと信じています。
おわりに|防災を「文化」にするために
この冬の連載では、
冬の災害の危険性
体温を守ることの重要性
停電との向き合い方
孤立を防ぐ共助
をお伝えしてきました。
そして最後に伝えたいのは、防災は特別な準備ではなく、日常の中で育てる文化であるということです。
雪遊びは、最高の防災教育。
遊びの中に、生きる力がある。
日本防災キャンプアウトドア協会は、これからも「楽しい防災」「文化としての防災」を広げていきます。
次回からは、“今日からできる実践編”です。
今日からできる「日常防災」5つのアクション
防災は、特別な準備をすることではありません。非常袋を完璧に整えることでもありません。
大切なのは、日常の中に、少しずつ防災を溶け込ませること。
キャンプやアウトドアの知恵をヒントに、ご家庭でも無理なくできる実践を、
3回に分けてお届けします。
買い足さなくてもできること
家の中で今日から試せること
子どもと一緒に取り組めること
そんな「小さな行動」を、具体的に紹介していきます。
防災は、怖がるものではなく、暮らしを整えること。
次回からの実践編、どうぞお楽しみに。



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