地域防災力を育む「防災×キャンプ」〜楽しみながら、いざという時に備える新しいカタチ〜
- akiyuki yamasaki

- 8月6日
- 読了時間: 5分
◉なぜ今「地域防災力」なのか?
地震、台風、大雨、豪雪など、日本列島は年間を通じて数多くの自然災害に見舞われています。特に近年は、想定を超える災害が頻発し、私たちの「これまでの常識」が通用しないケースも増えてきました。そのような背景のなかで、行政や専門機関による「公助」だけに頼るのではなく、一人ひとりができる備え「自助」、そして地域や身近な人との助け合い「共助」の重要性が強く叫ばれるようになりました。
しかし、実際のところ、「自分には何ができるのか分からない」「地域の防災活動に関わる機会がない」と感じている方は多いのではないでしょうか?そんな今こそ、楽しみながら学び、地域のつながりを深め、誰もが自然と参加したくなる「防災×キャンプ」の取り組みが、地域防災力向上の新しい鍵となります。

◉「防災×キャンプ」が注目される理由
■ 災害時の暮らしは、まさに“キャンプ”である
避難所での生活、ライフラインが断たれた状況での対応、屋外での炊き出しや寝泊まり——これらはすべて、キャンプスキルと密接に関係しています。つまり、キャンプの技術や知識は、「災害時の暮らしに直結するサバイバルスキル」として非常に有効なのです。
■ 体験を通じて身につく「生きる力」
単なる座学ではなかなか身につかない防災知識も、キャンプという実践的な体験を通じて学べば、「自分事」として理解が深まります。火を起こす、ロープを使う、テントを張る、水を確保する、簡易トイレを作る——これらの体験が、いざという時に命を守る知識と技術になります。

◉地域防災に必要なのは、「顔の見える関係」と「参加しやすい環境」
防災の基本は「日常の延長」にあります。いざというときに行動できるかどうかは、普段の人間関係や地域の信頼関係に大きく左右されます。そこで求められるのが、「誰もが参加しやすい防災の場づくり」です。
■ 防災活動に“楽しさ”を加える
多くの人が「防災は堅苦しい、難しそう」と感じているのが現実です。しかし、キャンプを通じて楽しく学ぶことで、「子どもも」「高齢者も」「地域外の人も」気軽に参加できます。遊びながら防災を体験することで、地域コミュニティの中に“自然と関わる場”が生まれ、防災に対するハードルを下げることができるのです。

◉こんな場面で活用されています!
■ 学校教育 × 防災キャンプ
教育現場での防災キャンプ導入が増えています。体験学習として、キャンプの要素を取り入れながら、「災害時の備え」「避難生活の模擬体験」などを行い、子どもたちの防災意識を育てます。先生たちの声:「教室で教えるだけでは伝わらない“生きる力”が、キャンプ体験を通じて自然と身についた」
■ 自治体主催の地域住民向けプログラム
防災訓練とレクリエーションを融合させた「地域防災キャンプ」は、子育て世代から高齢者まで参加できる交流の場として注目されています。実際の地域公園や空き地、学校の校庭などで開催され、テント設営、簡易トイレ作り、炊き出し体験などを行いながら、顔の見える地域ネットワークが構築されていきます。
■ 企業・団体の研修やCSR活動として
企業の防災教育やチームビルディングとして、防災キャンプを導入する動きも広がっています。特に防災備蓄品の活用ワークショップや避難所運営シミュレーションなど、社員一人ひとりの「防災リテラシー向上」と、社会貢献を同時に実現できるプログラムとして人気です。

◉自助・共助・公助をつなぐ「防災キャンプ」の構造
防災キャンプの中では、参加者それぞれが役割を持ち、助け合いながら過ごすことを体験します。これにより、「自分でできること=自助」「助け合う力=共助」「行政の役割=公助」の役割を体験的に理解し、自らの地域への意識が自然と高まっていきます。
例:ある1泊2日の地域防災キャンプの流れ
【DAY1】
オリエンテーション:「災害時に生き延びるための考え方」
テント設営講座&体験
火起こし・炊事体験
災害時を想定した夜の行動シミュレーション
【DAY2】
避難所での生活を模擬した体験(段ボールベッド、非常用トイレ使用など)
グループワーク「あなたならどうする?災害シナリオ対応演習」
ふりかえり・防災意識を言語化する
このような構成で、楽しみながら“もしも”を想定する実践的な学びを得られるのが、防災キャンプの強みです。

◉地域防災を支える人材育成の重要性
さらに持続的に地域防災力を高めるには、「伝える人」「場をつくる人」が必要不可欠です。私たちは全国で「防災キャンプ指導者養成講座」を開催し、地域で防災キャンプを企画・運営できる人材の育成を行っています。このような人材が地域に一人でも増えることで、自助・共助の輪が広がり、「誰かに頼る」ではなく、「自分たちの地域は自分たちで守る」という意識が育ちます。
最後に:地域防災力を育てる「防災×キャンプ」の未来へ
防災は、特別な人のものではありません。子どもも、大人も、年配者も、企業人も、地域外の訪問者さえも、「誰もが当事者」です。だからこそ、誰もが参加でき、誰もが楽しみながら学べる「防災×キャンプ」は、これからの時代に求められる“地域防災の新しいカタチ”だと考えます。
地域防災力向上は、楽しむことから始められます。小さな一歩からでも構いません。まずは、地域で「顔が見える関係」をつくり、備えを“知識”から“体験”へ変えていきましょう。学校・自治体・企業・団体の皆さま、一緒に「防災×キャンプ」の第一歩を踏み出してみませんか?
お問い合わせ・プログラム案内
防災キャンプの企画や出張講座、指導者養成に関するお問い合わせは、
一般社団法人 日本防災キャンプアウトドア協会までご連絡ください。
→ 防災キャンプで地域に“防災力”という種をまきましょう!



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